エレノアの周囲には監視役の近衛兵士が多く配置されるようになった。
 城内での生活を余儀なくされると、サンベルク皇帝への謁見も叶わない状態が続いた、そんな矢先のことだ。

「国境防衛軍がご帰還されたぞぉぉぉぉ!」

 銅鑼の音が鳴り響き、辺りは騒然とする。エレノアはバルコニーから眼下に広がる場所を凝視した。