「次は満開の桜を一緒に観れたら良いなと思うんだけど、どうかな」

「!」

「本当は偶然ここで出会えた方が運命っぽくて良いかもしれないけど、その可能性に賭けるより、確実にまた会える約束が欲しいので……連絡先、教えて下さい」

「……はい。私も、知りたいです」

 はらりと桜の花びらが私達の間に降ってくる。新しい何かが始まった、そんな気がしてやまなかった。


 ——帰宅後。私はアプリを開くと、メッセージを作成していた。

“ケイタさん。突然の事でごめんなさい。今日、他に気になる方が出来ました。今まで私とやり取りをしてくれてありがとう”

 これは私からのお断りの連絡だった。もうこれで終わりにしようと決めたのだ。……でも、

“最後に一つだけ、聞いても良いですか? あなたは、今現在この場に存在していますか?”

 これだけは、最後に教えて欲しかった。直接的に聞いたとしても否定されるだけかなと、ない頭を振り絞って考えた結果が、この問い方だった。
 もし相手がAIだとした時、単純にAIですか?と問いかけても、その答えにはいいえ。人間ですか?には、はいと返すよう、人間を装う為のプログラミングがされているだろうと思ったからだ。

 この問い方ならきっと、相手がもし人間の場合なら、はい。AIの場合なら、いいえの答えが返ってくるはずだと思う……多分。恐らく。自信は無いけれど。でももう夜だし、どちらにせよきっと返事が返ってくるはず。

 ピコンッ

 来た!