「はぁ……。なかなか出会えない……」
帰宅後、ぼふっとクッションに埋まると、どっと疲れが込み上げる。また今回もダメだった……一体あと何回こんな事を繰り返すのだろう。
有難い事に、アプリ内での出会いの機会は結構ある。でも大体この質問をし始めた頃から雲行きが怪しくなり、上手くいかなくなっていた。
今回なんかはまだ良い方。この間なんて、「もしかしてサクラの人?」とか言われる始末。「だから桜って名前なの?」だって。完全に名誉毀損。私の大事な名前にケチをつけられた気分で、即行ブロックした。
なんでみんな運命って言葉を嫌がるんだろう。大事な事だからメッセージのやり取りの中では出さずに直接会ったタイミングで聞いている。これが間違い? だから何かの勧誘と間違われたりするの? それまであんなに良い感じだったのに。
ピコンッ
真っ暗な画面に明かりが付き、アプリからの通知が目に入る。開いてみると、知らない人からフォロー申請とメッセージが届いていた。
“はじめまして、桜さん。いきなりこんな事を尋ねるのも大変失礼かと存じますが、個人的にとても重要な事なのでお答え頂けたら幸いです。あなたは、
——運命の人を信じますか?”
その一言に、ぶわっと鳥肌が立った。
きた。この人だ。きっとこの出会いに賭けてみるべきだと、私の手は勝手に動き出す。