それから、暫しの無言。互いにどう話しだしたら良いのか悩んでいる、そんな空気だった。

「……えっと、俺、さっき帰ったじゃないですか。そしたら向こうブチ切れで。結局別れる事になりまして」

「……え?」

 うそ、あの後そんな事があったの?

 先に口を開いた彼からの報告に驚いた。そうか、待ち合わせ相手は彼女だったのか。ダメになってしまったのかと、先週も一緒に待った仲間としてはとても悲しい。

「高校卒業から付き合ってたからもう一部みたいになってる所もあったんですけど、でもなんか……終わったら終わったでそんなもんか、みたいな」

「……」

「これからもずっと一緒だと思ってた時もあったのに、なんだろうな……何があるか分かんないんだな、人生って」

 へらっと誤魔化すように、彼は笑う。そうは言っても十分寂しがってるのは明白だった。人生、何があるか分かんない、か……。

「……あなたは、運命の人って信じますか?」

「……」

 沈黙が続く。思わず口に出してしまったけれど、ここで出す様な話題では無かったと後悔して、テーブルに視線を逃した。そして、ごめんなさい、何でもないですと続けようとした、その時だった。

「……気持ちは分かる。信じてたから」

「!」