「え、まさかと思ったけど、本当にあれからずっと待ってんの? 待ち過ぎでしょ!」
彼、もう一人のケイタさんは、目を丸くして私を見つめていた。馬鹿にしている素ぶりでは無かったけれど、一瞬でも期待した分違った衝撃が大き過ぎて何も答えられなかった。そんな私の反応に、彼は気まずそうに頭をかく。
「……あー、そろそろお腹とか、空きません? 一緒にご飯でもどうですか?」
そして、困った様に笑いながら、私をこの場から連れ出してくれる言葉を選んでくれた。そんな彼の気遣いからは、私を心配してくれている事が真っ直ぐに伝わってきて、もうどうすれば良いのか分からなくなっていた私は、その提案に思わず頷いていた。
駅からそんなに離れていない目についたレストランに二人で入る。美味しそうな匂いがしてくると、なんだかどっと疲れを感じた。お腹が空いていたというか、気持ちがすり減っていた、そんな感じ。それを今ようやく自覚した。
料理が届くと、それを黙々と二人で食べる。温かくて美味しいものがお腹に入るとほっと落ち着いて、スマホを確認する余裕が出来たけれど、やっぱりケイタさんからの連絡はまだなかった。
「大丈夫?」
前に座る彼が私に尋ねる。私が落ち着くのを待っていてくれたようなタイミングだった。
「大丈夫です。すみません、付き合わせてしまって」
「全然。誘ったの俺だし、気にしないで下さい」
「……」