立ち尽くす事三十分。まだですかと連絡を入れてみたけれど、反応は無し。本当に今回も来ないのかもしれない。

 何なんだろう。だったらどうして約束なんてしたの? 私をここに立たせる事に意味があるの? それで何のメリットが?
 向こうの目的が何も分からない。もし本当に会いたくないのだとしたら私と連絡を取り合う意味が分からないし、だからと言ってケイタさんに私を陥れようとする素ぶりもない。

 あれから色々考えた。でも大体詐欺関係だとしたらまずは私の信頼を得る事に全力を尽くすだろうし、私を揶揄いたいだけならもっと良い方法がありそうなものだ。それに何度も繰り返す迷惑行為は私が運営に報告した場合、最悪アカウント削除まであるはずだし……でも、ケイタさんの言動はそのどれにも当てはまりそうも無かった。

 詐欺でもない。悪戯でもない。勧誘でもない。じゃあ何?

「あの」

 急に隣から声が掛けられる。それは偶然ケイタさんと同じ名前の男性からだった。

「もしかして、先週も居ました?」

「! はい。そちらもですよね?」

「そうです。待ち合わせしてるんですけど、全然来なくて」

「同じです!」

 まさか全く同じ境遇とは! やっぱり彼は待ちぼうけ仲間だったのだ。