「で、結局誕生日はどうする?」
「サプライズ……ではなくなっちゃったもんね」
「予定通りサプライズしてもいいし、こうなったらいっそ出掛けてもいいし」

 もともと計画していたパーティだけでもしてもいいかもしれない。ふたりでのんびり過ごせるし。でも、もう気分一新してデートに行くのもいいと思う。瀬戸山くんのプレゼントがまだ決まっていないので、それだけでもこっそり用意をしたらいいんじゃないかな。

 でも、さっきの有山くんとの会話から、瀬戸山くんと一緒に探すのも楽しいし瀬戸山くんは喜んでくれるだろうな。

「どうする? どっちがいい?」

 うーんと悩んでいると、瀬戸山くんが、わたしの〝どっちでもいい〟を期待しているのがわかった。

「どっちでも、いい」

 むうっと口を尖らせて答える。

「でも、どっちも、が、いい」
「そうきたか。いいな、それ」

 結局なんて答えても瀬戸山くんはうれしそうだ。

「瀬戸山くんはどうしたい? 瀬戸山くんの誕生日だし」
「そうだなあ、おれは、どっちでもいいよ。なんでもいい」

 少しだけ考える素振りをした瀬戸山くんは、わたしのような返事をする。
 けれど、最後に満面の笑みで言葉をつけ足した。



「黒田が祝ってくれるなら」



 了