「アミは地球になぜ旅行をしにきたの?」
 ミカは見知らぬ星で、お星さまと呼んでいたのを改め、アミという名の宇宙生命体に尋ねた。
 あの日見た大きな流れ星は、宇宙船がこの地球にやってきていた。高度な技術と超能力に似た技能を持っていたため、たまたまミカと心が通じ合ったのだった。
「旅行が目的じゃなかったんだ。ひっそりと地球を調べにやって来たんだ」
「もしかしてスパイ?」
 アミは輝きを増して笑った。
「自由研究の宿題さ」
「宿題だったの? それで、ちゃんとできた?」
「ミカのお陰で何もしないで色んな情報が堂々と採集できたよ。あれは地球ではSNSっていうのかい。あんな方法で皆が繋がるんだね」
「こっちではやってないの?」
「僕たち生命体は繋がりたい時はお互いの心で簡単に繋がるんだ。だから地球のやり方はとても原始的で興味深かった。参考になる映像も沢山撮れたし、地球生命体の性質も大体把握できたよ。だけどまだまだ僕たち生命体とは交流できないね。高度な技術を教えたら欲張る人が出てきそう。あのぬいぐるみを取り合いしたみたいに」
 アミは旅行で見てきたものを目の前に映像にしてミカに見せていた。
「でも私とは仲良くしてくれるのはなぜ?」
「ミカはもう地球にいられない、僕たちに近い生命体になったからだよ」
「私はこれからどうしたらいい?」
「ずっと僕と一緒にいてもいいし、自由に宇宙を漂ってもいいし、または……」
 アミは少しもったいぶる。
「または何?」
「地球に戻ってもう一度人間に生まれ変わってもいいよ」
「パパとママのところに戻れる?」
「それもできるよ」
 ミカはぱっと顔を明るくした。
「どうすればいいの?」
「あれ、ミカはそれを知っているはずだよ? すでに二回、君は同じママを選んで側に居ようとしたじゃないか」
「えっ? じゃあ、次で三回目?」
 よくわからなかったけど、またママの側にいられるのならミカは嬉しい。
「それじゃ、SNSでママに知らせておく? 手伝うよ。送りたいメッセージを心に浮かべて」
 ミカは伝えたいことを思い浮かべる。
『もうすぐ旅行を終えてママのところへ帰ります』
 ミカのメッセージは光の速さで地球へと送られ、ちゃんと優子のスマホに届いていた。