ルリくんが現状を受け入れてくれるようになった。
きっとルナちゃんとの間に何かあったんだろうけど、それを俺が無理矢理こじ開けるべきではないと思う。
だから俺はこれといって干渉はせず、ルリくん達には好きに暮らすようにしてあげた。
現在、俺が過ごしているのは、なんと『ゲシリアン子爵の屋敷』という屋敷だ。
ゲシリアン子爵は判決の結果、極刑の一つ、島流しの刑に処された。
島流しの刑とは、無人島に丸裸で降ろされる刑だが、その場所というのが必ず決められていて、魔物ランクBクラスがうようよしていて、中にはAランクまでいるとされる『地獄島』に送られるのだ。
ゲシリアン子爵が生き残る可能性も帰って来れる可能性も皆無だろう。
これで被害にあった人達に、少しでも恨みが晴れたら嬉しい。
そんな感じで子爵位も剥奪されたのはいいんだけど、今度は残った子爵領を誰が管理するのかと不安だった。
その時、ゼラリオン国王様よりとんでもない命令があった。
ゲシリアン子爵が所有していた全ての財産を、『銀朱の蒼穹』のマスターである俺にくれるというのだ。
しかも、命令で。
仕方なく……? ゲシリアン子爵の全ての財産を相続した俺は、事実上元ゲシリアン子爵領の領主となった。
ミリシャさんの提案で、領の名前を変え、現在は『レボルシオン領』となっている。
ただ、俺に名字が付与された訳ではなく、ただ領の名前だけの変更となった。
巷では『革命の地』として有名となっているそうだが、当の俺達にはあまり聞こえてこないので、気にした事はない。
領地経営に関しては全くの知識がなくて困っていたのだが、なんと領地経営に非常に強い味方が見つかった。
その味方というのは――――元ゲシリアン子爵家の筆頭執事だったシランさんだ。
シランさんはゲシリアン子爵が連れて行かれてから立ち去ろうとしたのだが、俺が猛烈にアピールをして引き止めた。
後から知った事なんだけど、俺達を最後に助けてくださったインペリアルナイトのハレイン様をこの地に誘導したのも、他でもないシランさんだったそう。
シランさんもゲシリアン子爵を何とかしたい想いで、こっそり子爵の状況を手紙で送っていたそうだ。
ハレイン様も踏み切るタイミングを計っていたそうだけど、俺達が先に仕掛けた事で、結果的にああなったそうだ。
そんなこんなで、領地経営の一斉をシランさんにお願いした。
収入は最低限度でいいので、領民達の生活の向上に力を入れるように伝えると、いつも無表情なシランさんから初めての笑顔を見られた。
俺はというと、『銀朱の蒼穹』のメンバー全員とメイリちゃんを擁する傘下組織を『銀朱の蒼穹・弐式』と命名し、日頃から経験値貯めに勤しんだ。
まだ狩りが行えない弐式のメンバーは屋敷で働いたり、狩り組の素材を運んだりと懸命に働いてくれた。
更に驚いた事に、あの地下から救った人の中に、メイリちゃん達の世話をしてくれていたシスターもいた。
彼女は、メイリちゃん達に毎月定期的に食料を届ける名目で連れてこられたそうで、守られていなかった事を知ると、メイリちゃん達にひたすら謝っていた。
本人の方が辛かっただろうに、自分の身よりも子供達の身を案じている彼女は、俺からすればまさに聖母に等しいと思えた。
なので、『レボルシオン領』で再度シスターとして、頑張って貰えるようにお願いした。
更に職能『回復士』に転職させて、回復魔法を使えるようにすると、多くの人々を助けるようになっていた。
彼女はそうなった事も女神様の導きだと喜んでくれて、沢山の傷ついた人を治療してくれる本当の聖母のようなシスターとなるのだった。
レボルシオン領になってから数か月。
領内は落ち着きを見せていた。
その頃を見計らって、領内の孤児達を全員ゲスロン街に呼び寄せた。
メイリちゃん達を世話していたシスターグロリアさんにもお願いして、孤児達にひもじい思いをしないように孤児院管理もお願いして、更にゲスロン街の一角に広い孤児院も建設した。
その孤児院は、今までの孤児院と違い、実家のようにする予定だ。
だって、孤児達は成人したら孤児院を出なくちゃいけないけど、俺はそれを無くしたかった。彼らにとっての孤児院は、帰りたい実家になるはずだから。
だから泊れる部屋も沢山作って、広場も広く作り、子供達がのびのび遊びながら、狩りの手伝いも出来るように台車などを配備してあげた。
恵んで貰うだけでは生きていけないし、それだと仮に俺達がいなくなった際に苦労するのは、本人達だから今のうちに自らで手伝いを出来るような環境を作ってあげようと考えた。
そして、そのタイミングで、俺の口座……冒険者ギルドで発行しているお金を魔法で管理出来る『通帳』というシステムの中に、レボルシオン領の土地からの土地代金や、冒険者ギルトからの『特別情報』のお金が振り込まれた。
その額は、俺が思っていた以上に多く、そのお金を使って孤児院の設備を整えたり、ゲシリアン子爵に大変な目にあった人々への救済金にも当てた。
そんな平和な毎日を送っていた俺に不穏な報告が届いた。
「レボルシオン領の南側にて、獣人族の群れが出現。エホイ町を乗っ取った模様」
その報せを聞いて、俺は急いで『銀朱の蒼穹』を集めた。
きっとルナちゃんとの間に何かあったんだろうけど、それを俺が無理矢理こじ開けるべきではないと思う。
だから俺はこれといって干渉はせず、ルリくん達には好きに暮らすようにしてあげた。
現在、俺が過ごしているのは、なんと『ゲシリアン子爵の屋敷』という屋敷だ。
ゲシリアン子爵は判決の結果、極刑の一つ、島流しの刑に処された。
島流しの刑とは、無人島に丸裸で降ろされる刑だが、その場所というのが必ず決められていて、魔物ランクBクラスがうようよしていて、中にはAランクまでいるとされる『地獄島』に送られるのだ。
ゲシリアン子爵が生き残る可能性も帰って来れる可能性も皆無だろう。
これで被害にあった人達に、少しでも恨みが晴れたら嬉しい。
そんな感じで子爵位も剥奪されたのはいいんだけど、今度は残った子爵領を誰が管理するのかと不安だった。
その時、ゼラリオン国王様よりとんでもない命令があった。
ゲシリアン子爵が所有していた全ての財産を、『銀朱の蒼穹』のマスターである俺にくれるというのだ。
しかも、命令で。
仕方なく……? ゲシリアン子爵の全ての財産を相続した俺は、事実上元ゲシリアン子爵領の領主となった。
ミリシャさんの提案で、領の名前を変え、現在は『レボルシオン領』となっている。
ただ、俺に名字が付与された訳ではなく、ただ領の名前だけの変更となった。
巷では『革命の地』として有名となっているそうだが、当の俺達にはあまり聞こえてこないので、気にした事はない。
領地経営に関しては全くの知識がなくて困っていたのだが、なんと領地経営に非常に強い味方が見つかった。
その味方というのは――――元ゲシリアン子爵家の筆頭執事だったシランさんだ。
シランさんはゲシリアン子爵が連れて行かれてから立ち去ろうとしたのだが、俺が猛烈にアピールをして引き止めた。
後から知った事なんだけど、俺達を最後に助けてくださったインペリアルナイトのハレイン様をこの地に誘導したのも、他でもないシランさんだったそう。
シランさんもゲシリアン子爵を何とかしたい想いで、こっそり子爵の状況を手紙で送っていたそうだ。
ハレイン様も踏み切るタイミングを計っていたそうだけど、俺達が先に仕掛けた事で、結果的にああなったそうだ。
そんなこんなで、領地経営の一斉をシランさんにお願いした。
収入は最低限度でいいので、領民達の生活の向上に力を入れるように伝えると、いつも無表情なシランさんから初めての笑顔を見られた。
俺はというと、『銀朱の蒼穹』のメンバー全員とメイリちゃんを擁する傘下組織を『銀朱の蒼穹・弐式』と命名し、日頃から経験値貯めに勤しんだ。
まだ狩りが行えない弐式のメンバーは屋敷で働いたり、狩り組の素材を運んだりと懸命に働いてくれた。
更に驚いた事に、あの地下から救った人の中に、メイリちゃん達の世話をしてくれていたシスターもいた。
彼女は、メイリちゃん達に毎月定期的に食料を届ける名目で連れてこられたそうで、守られていなかった事を知ると、メイリちゃん達にひたすら謝っていた。
本人の方が辛かっただろうに、自分の身よりも子供達の身を案じている彼女は、俺からすればまさに聖母に等しいと思えた。
なので、『レボルシオン領』で再度シスターとして、頑張って貰えるようにお願いした。
更に職能『回復士』に転職させて、回復魔法を使えるようにすると、多くの人々を助けるようになっていた。
彼女はそうなった事も女神様の導きだと喜んでくれて、沢山の傷ついた人を治療してくれる本当の聖母のようなシスターとなるのだった。
レボルシオン領になってから数か月。
領内は落ち着きを見せていた。
その頃を見計らって、領内の孤児達を全員ゲスロン街に呼び寄せた。
メイリちゃん達を世話していたシスターグロリアさんにもお願いして、孤児達にひもじい思いをしないように孤児院管理もお願いして、更にゲスロン街の一角に広い孤児院も建設した。
その孤児院は、今までの孤児院と違い、実家のようにする予定だ。
だって、孤児達は成人したら孤児院を出なくちゃいけないけど、俺はそれを無くしたかった。彼らにとっての孤児院は、帰りたい実家になるはずだから。
だから泊れる部屋も沢山作って、広場も広く作り、子供達がのびのび遊びながら、狩りの手伝いも出来るように台車などを配備してあげた。
恵んで貰うだけでは生きていけないし、それだと仮に俺達がいなくなった際に苦労するのは、本人達だから今のうちに自らで手伝いを出来るような環境を作ってあげようと考えた。
そして、そのタイミングで、俺の口座……冒険者ギルドで発行しているお金を魔法で管理出来る『通帳』というシステムの中に、レボルシオン領の土地からの土地代金や、冒険者ギルトからの『特別情報』のお金が振り込まれた。
その額は、俺が思っていた以上に多く、そのお金を使って孤児院の設備を整えたり、ゲシリアン子爵に大変な目にあった人々への救済金にも当てた。
そんな平和な毎日を送っていた俺に不穏な報告が届いた。
「レボルシオン領の南側にて、獣人族の群れが出現。エホイ町を乗っ取った模様」
その報せを聞いて、俺は急いで『銀朱の蒼穹』を集めた。