こちらの方は、かなりあけすけにぶちまけてみると、お兄さんは時折相槌を打ちながら静かにほうじ茶をすすっていた。
そして、話し終わって一言。
「終わった恋っていうのは、もう終わってたんですよ」
思わず笑ってしまった。
身も蓋もないけど、ホント、そう。
別れを告げられたのは急なことのように思うけど、実際は小さなことが積もり積もって、とっくの昔に限界に達していたんだよね。
ただ単に、あとはそのきっかけがいつになるのか分からなかっただけ。
「なんかスッキリしました」
「それは何より」と、お兄さんが顔を隠すように湯飲みに口をつけた。「何の解決にもなってないですけど、きっとまたどこかで新しい出会いが見つかりますよ」
――それってこのお店のことかな。
「じゃあ、お下げしますね」とお兄さんが立ち上がる。「良かったらミカンもどうぞ」
「完璧ですね」
食後のデザートまでごちそうになって満足満腹。
「そろそろお会計お願いします」
「全部で千円でいいですよ」
「え、お酒もごちそうになったのに!?」
「だって、全部余り物ですから。お酒もね、ちょっとだけ残ってたんで」
そう言われちゃうとなんか複雑な気持ちだけど、おいしかったからまあいいか。
「また来ますね」
「ぜひ」と、お兄さんがピンクのエプロンを外しながら名刺をくれた。
私はそれを財布にしまってお店を出た。
ああ、思いがけずいいお店を見つけちゃったな。
残業はうんざりだったけど、終わり良ければすべて良しってことでまた明日から頑張ろうっと。
振り向くと、明かりを消してしまったのか、もうお店がどこにあったのか分からなくなっていた。
そして、話し終わって一言。
「終わった恋っていうのは、もう終わってたんですよ」
思わず笑ってしまった。
身も蓋もないけど、ホント、そう。
別れを告げられたのは急なことのように思うけど、実際は小さなことが積もり積もって、とっくの昔に限界に達していたんだよね。
ただ単に、あとはそのきっかけがいつになるのか分からなかっただけ。
「なんかスッキリしました」
「それは何より」と、お兄さんが顔を隠すように湯飲みに口をつけた。「何の解決にもなってないですけど、きっとまたどこかで新しい出会いが見つかりますよ」
――それってこのお店のことかな。
「じゃあ、お下げしますね」とお兄さんが立ち上がる。「良かったらミカンもどうぞ」
「完璧ですね」
食後のデザートまでごちそうになって満足満腹。
「そろそろお会計お願いします」
「全部で千円でいいですよ」
「え、お酒もごちそうになったのに!?」
「だって、全部余り物ですから。お酒もね、ちょっとだけ残ってたんで」
そう言われちゃうとなんか複雑な気持ちだけど、おいしかったからまあいいか。
「また来ますね」
「ぜひ」と、お兄さんがピンクのエプロンを外しながら名刺をくれた。
私はそれを財布にしまってお店を出た。
ああ、思いがけずいいお店を見つけちゃったな。
残業はうんざりだったけど、終わり良ければすべて良しってことでまた明日から頑張ろうっと。
振り向くと、明かりを消してしまったのか、もうお店がどこにあったのか分からなくなっていた。