ゆびきりげんまん
嘘ついたら
針千本飲ます。
ゆびきった。

 それは遠い幼い頃の思い出。

『大きくなったら、亮ちゃんのお嫁さんにしてね』
『約束だ。葵』

 歌を口ずさみ、お互いの小指を離し、チュッとほっぺたに小さなキスをする。
 私たちはシロツメ草の丘で、草で作られた指輪をお互いの薬指に嵌めこみ、幸せそうにそんな約束をした。

 小学三年生にしては、おませだったと思う。
 今思い返せば恥ずかしくなるような綺麗で大切な思い出は、ずっと私の心の支えになっていた。
 そう、支えであったはずなのに……。