僕らの通う学校の体育祭が終わった翌日。
他の高校がどうかは知らないけれど、翌日は普通に授業が行われる。
しかし、僕と新城は授業を欠席して妖界に来ていた。

「えっと、この状況は?」
「知るか」

戸惑う僕に新城は興味ないという風に団子と緑茶を味わう。
妖界の商店街の一角。
そこにあるスペースで着物をドレスタイプに改造した衣装を纏ってノンちゃんが歌って踊っている。
その姿にわーわーと楽しそうに騒いでいる妖怪達。

「全く、アンタ、とんでもない奴を連れてきたね」

蛇骨婆が呆れた様子で僕らへ声をかける。

「おい、俺はあの女を人間に戻すための薬について相談した筈だぞ。何をどうやれば妖界の片隅でライブがはじまっているんだ?しかも、怪異の姿で!」
「そんなこと、こっちが聞きたいね!いきなりこんなことになって」
「いやぁ、とても楽しかったぁ、あ、ジョージ君~」

ライブを終えたノンちゃんが僕を見つけると駆け寄ってきて。

「ちょっと!」
「うーん、良い匂い!ジョージ君の臭いだよ~」

嬉しそうに僕へ抱き着いてきた。
やんわりと引きはがそうとしたけれど、纏っているローブが体に巻き付いていて離れない。

「マジかよ。怪異の力を使いこなしている」
「いわゆる半妖みたいな立ち位置になっているねぇ、人間に戻れるかと言われると難しいね」
「札を使ったが効果なかったか?」
「ちゃんと効果は出ているよ。ただ、妖怪へ身を落とすために何か特殊なものを使ったみたいだね。それでこんな結果になったようだね」

蛇骨婆の言葉に新城が大きなため息を吐く。

「無駄骨かよ……面倒くさい」
「えっと、新城、できれば助けて」
「……お前様」
「しばらくそうしていろ。頭痛い」
「お茶だしてやるから、うちにきな」