「あはぁ」

興奮していた。

「素敵、とてもとても、あぁ、ぁ、あぁ、もっと、もっと早く知っていたら寄り道せずに、あぁ、本当に残念だ」

笑いながら血を吐くという器用な事をしながら話す彼女に冷たい目を向ける新城凍真。

「さっさと、この場で封印を」
「悪いですけど」

口から鉄砲水のように発射される血。
咄嗟に手で防ぐ。
腕で顔を守るように視界を隠した為に彼女の姿が一瞬、消える。

「器用な真似しやがって!」

その一瞬の隙をついて彼女は逃走していた。

「逃走用の道具でも隠していたか?まぁ、地獄の針で少なくとも十年はまともに動けない……しばらくは平穏な生活が送れる」

腕にべっとりと付いていた血をみて、一枚の紙を取り出して血を拭う。
血は生き物のように吸い込まれて紙の中に封印される。