今回はその部分を刺激する実験のようなもの。

「しかし、この計画もどこまでうまくいくか」

彼に嗅ぎつけられた。
新城凍真。
この国で唯一といえる自分の脅威。
彼によって実験で用意したコレクターは失敗した。
あれは怪異になり損ねた。
失敗した事はもういい。
彼女は用意していた計画がどうなるのか楽しみだった。

「運よくあの男を殺したら」

鏡がなくても自分が今、どんな表情をしているのかわかる。

「あぁ、結果が待ち遠しい」

キュルルと彼女のお腹から音が鳴る。

「あぁ、そういえば何も食べていませんでしたね」

タブレットを仕舞って彼女は足元を見る。
ジャックを祓うといって邪魔をしてきた愚か者二人の慣れの果てが目の前にあった。

「お腹すきましたねぇ」

口の端からボタボタと零れる唾液。

「散らかした後の片づけも必要でしたし、これくらい大丈夫でしょう。はしたないと叱る人間もいないのですから」

口元の涎を舐めながら巨大な口を広げる一衣。
事切れている陰陽塾の二人をそのまま飲み込んだ。