――ノンちゃんは女の子だった。

彼女は意を決しての告白だったんだろう。
でも、僕からしたら。

「あ、そうなんだ」

失礼かもしれないけれど、その程度の言葉しか出なかった。

「え?」
「え?」
「えぇ?」
「え」
「いや、何、このコント」

首を振りながらノンちゃんが僕を見る。

「その、反応からしてわたしが女だって気付いていた?」
「ううん」

僕は首を振る。

「そうなんだ、って、え?」
「ううん、わかっていなかった。男にしてはやけに体が柔らかいなぁと思ったけど」

成程、女の子というのなら納得。
待てよ。

「あれ、セクハラになるんじゃないの?」
「え?」
「僕、犯罪者になった!?あぁ、どうしょう!おじさんに迷惑をかけちゃう!?新城に、新城に迷惑を」
「あ、待って、ちょっと落ち着いて!セクハラじゃない!わたしから接しているんだから合意!合意だから!」
「……本当?」
「そうだよ。だから落ち着いてよ。ね?」

ノンちゃんの言葉に僕は安心して息を吐く。

「ごめん、少し取り乱した」
「少しじゃないと思うけれど、これ以上は面倒なことになりそうだから……うん、追及しないようにしておくよ」

思っていた以上に僕は混乱していたようだ。
ノンちゃんがどこか疲れたような近くの椅子に座る。

「……だましていてごめんね?」
「僕はそう思っていないよ?ノンちゃんが男の子っていっていたのは、身を守る為でしょ?見ず知らずの人でしかも宿泊の頼みをするなら警戒するに越したことはないんだから」