「うん、応援団に参加しているんだぁ~」
「キミ、一応、部外者だってことわかっている?」
「え~、わたし、わかんない~」

惚けている彼になんともいえない表情を僕は浮かべている事だろう。

「競技、頑張ってね!応援しているから!」
「ありがとう、なるべく頑張るよ」
「一等をとっても!そうしたら大事な事、伝えるからさ」
「大事な事?まぁ、うん」
「約束だからねぇ」

そういってノンちゃんは応援競技に参加した。
まさかの中心で大人気に僕は驚きを隠せない。
形はどうあれ彼が頑張ったのだから僕もやる気を出そう。

「やるぞ」

まずはリレーかな?
少しばかりやる気を出してみよう。
そう考えて、僕は並ぶ。
スタートの合図と共に地面を強く蹴り。






「一位、とっているよ」

桜木ノンは一位と揺れているフラッグの下にいる雲川丈二の姿を見て自然と笑顔になる。
自分の約束を彼は守ってくれた。
その事がとても嬉しい。
周りに「嬉しそうだね?」と指摘されても迷わずに「うん!」と答える。
彼なら自分を裏切名らない。
根拠のない確信が彼女の中で芽生えていた。

「(今、伝えたら彼は信じてくれる。そして)」

一瞬、震えそうになった体を抱きしめそうになる。
拒絶されたらという先の事はまだ考えない。
考えたくなかった。

「わたし、行くね!」
「うん、彼氏さんと仲良く~」
「ありがとう~、まだ彼氏じゃないけれど」

揶揄ってくる女子生徒に苦笑いで返しながらノンは彼が戻ってくるであろうゲートに向かう。