「俺とやりあうほどの力はないと判断して逃げたのか……それともジャックの育成に力を注ぐことにしたのか、少なくともしばらく都市伝説怪異関連の厄介ごとは続くのか」

大きくため息を吐きながら新城凍真はこの地を後にする。
この場所にいる必要がなくなった以上、志我一衣の企みを阻止しなければならない。

「雲川になんて説明するか」

今はいない相棒の事を考えながら新城は森の中を歩く。
その相棒が厄介ごとの真っただ中にいることを新城はまだ知らなかった。





「いやぁ、遂に始まりましたな。体育祭!」

嬉しそうに僕の横で楽しそうに話すノンちゃん。
学校指定の体操着なのだが。

「どうして、下がブルマなの?」
「え?それが萌えるってオタクの滝中君に聞いたよ」

滝中君というのが誰かわからないけれど、ブルマなんて履いている人は他にいないしすっごい目立っている。
ブルマから伸びているすらりとした足。
染み一つない綺麗な肌をさらしていて男子女子問わず視線を集めていた。

「結局、体育祭も参加するんだね」
「ジョージ君の先生はオッケー出してくれたよ?わたしもとても楽しみです」

そういって腕に抱き着いてこようとしたのでさっと躱す。

「最近、回避速度があがりましたね」
「慣れてきましたので」

毎日のように抱き着かれてきたら耐性というか、色々とわかってくるものである。
あの騒動の後もノンちゃんと一緒にいることはよくないとかいろんな人が僕に話していた。
全てあしらっていたが、体育祭が近づいてくるにつれてよくない噂も広まってきていた。
そう、過去形だ。
ほんの少し前にノンちゃんが放送室をジャックして訴えた。
全校生徒が楽しい昼食をしている中で様々な言葉を吐き、その結果。
よくわからないけれど、僕とノンちゃんが一緒にいることが当たり前になった。
まるで漫画やドラマのワンシーンみたいな光景だった。後になってちゃんと面倒をみなさいと工藤先生に説教を僕が受けたけども。
隣にノンちゃんがいるのが当たり前になるほど、日常に浸透している。

「あ、そろそろいかないと」
「用事?」