元々、手に入れようと思っていた相手の前に現れた存在。
一目ぼれ、欲しい、衝動、なんといえばいいかわからない感情を抱くのは久しぶり。
必ず手に入れる。
例え、相手が自分に対抗できる特別な力を宿していたとしても関係ない。

『これで、貴方はお姉さんのコレクションの一つに』

笑顔で両手を伸ばす。
まずは優しく俯いているその顔を持ち上げて。
次は。

「最後に聞く言葉がそれか、コレクターらしいといえば、コレクターらしいな」

見上げた彼の目をみた瞬間、底知れぬ恐怖を感じた。

――すぐにこの場を離れないといけない!

コレクターがその場を跳躍しようとした時、足場に様々な文字が並んだ陣が現れる。

「よっこいしょ」

座っていた彼が立ち上がる。

「悪いな、呼び寄せる為とはいえ、こんな事をして」

コレクターが限界まで目を見開く。
彼がいた場所。
そこにあったのは年季の入った地蔵。
地蔵を見た瞬間、コレクターは奇声のような悲鳴を上げる。

「どうやらこれは見覚えがあるようだな」
『ど、どうして、それが、そんなものがここに!?』

喜色の表情から一転して驚愕、そして恐怖に表情が染まっていくコレクター。
脚をガチャガチャと動かしてこの場から逃げようとしたが。

「ところがギッチョン」

地面から伸びてきた鎖がコレクターの肢体に巻き付いた。

「これ以上、俺の貴重な安眠を潰されるのは嫌なのでね。ここで決着を付けさせてもらう」
『バカな、バカなバカな!この地蔵は粉々に潰して』
「確かにアンタを封印していた地蔵は粉々になっていたさ。だが、あの地蔵はなにも一つだけじゃない。苦労したよ。アンタに気付かれないように似たような地蔵を探すのはさ」
『どうして、どうやって!?監視の目は昼夜つけていたのに!?』
「今の世の中は便利だよなぁ。これ一つで色々な事ができるんだからさ」

ポケットから取り出したのは携帯端末。
コレクターが監視していた彼のものではない。
別の端末。

『二つ、二つ持っていた!?貴方、そんな』
「祓い屋が機械に疎いなんて話、信じていたのか?まぁいい」