「ちょっと、そんなものをここで出すのは流石にまずいんじゃ?」
「かえぇぇぇぇせぇええええええ!」

叫びと共に襲い掛かってくる。
これはダメか。
溜息を吐きながら上着の中に隠していた十手を取り出す。
同時に前へ軽く踏み出しながら十手を突き出した。
十手は男の手に当たる。

「いっづぅああああああ!」

痛みに顔を歪める男。
ナイフが地面に落ちると同時に額へ十手を突く。

「ぐふぅ!?」

衝撃を受けて派手に転倒する男。

「逃げるよ」
「え、あ、うん!」

戸惑っているノンちゃんの手を引いて走る。
時々、後ろを確認するも先ほどの一撃が効いているのか起き上がる様子がない。
足取りが掴まれないようにしながら帰宅する。
道中、ノンちゃんは一言も発しなかった。