振り返った僕は瞬きを何度も繰り返す。

「え?」
「あれ?誰、知り合い?」
「おやおや?ジョージ君、そこの女は誰?」

やってきたノンちゃんは不思議そうな顔をしながら僕を見る。

「雲川、そこの“女子”は誰?」

尋ねてくる瀬戸さんに僕はなんと答えたらいいだろう。
ノンちゃんが着ているのは学校の制服。
そう、この学校の女子の制服。
何故?
少し混乱している頭を無理やり冷静に保とうとする。

「えっと、彼女はノンちゃん。体育祭の準備とかを見学に来たんだ」
「よろしく、雲川君と仲良しのノンちゃんです~!」
「こちらこそ、雲川と友達の瀬戸ユウリよ」

そういって握手する二人。
しばらくして瀬戸さんから離れた。

「じゃあ、アタシは体育祭の準備があるから案内、頑張ってね~。後、凍真から連絡あったら知らせてね!」
「わかった」

去っていった瀬戸さんを見送ってからノンちゃんが腕にしがみついてきた。

「えっと、ノンちゃん?」
「あの子、可愛いねぇ、ジョージ君の彼女?」
「まさか、瀬戸さんはクラスメイト……だよ」

友達とはっきりいえないのは僕達の関係が複雑すぎるからだろう。
それにしても。

「ノンちゃん、どうして女子の制服?」
「あー、これ?貰った奴が女子のものだったんだ。呼び戻して変える訳にいかないからこのまま着てみたんだ。どう?似合うかな?」
「男なのに、良いの?」
「良いの、良いの!可愛いから」
「ノンちゃんがそれでいいなら、いいのかな?」

頭に???を浮かべながらノンちゃんと一緒に校内の案内を開始する。

「ところで、なんで腕に抱き着いているの?」
「その方が安全だから~。あ、もしかして照れてる?」
「いや、なんでかなぁ~って」

同性にしては柔らかいなぁという感想を抱きながら歩いていく。