「しないねぇ」
「ぶー、つれないなぁ」

暴れていた様子から一変してスタッと起き上がる。

「今日の朝ごはんはなにかなぁ？」
「ご飯とみそ汁、あとは卵焼きかな」
「おー、いいね！ジョージ君のご飯、おいしいから大好き」
「作り甲斐がある言葉をありがとう」
「うんうん、あ、洗濯物はやっておくね！」

くるくると回るように動きながら洗面所に向かうノンちゃん。
そんな後姿をみながら朝食の準備を始める。
居候になって数日が経過した。
人見知りしない彼はおじさんとあっという間に仲良くなり、家の事もある程度、手伝ってくれている。
おじさんは当初、親御さんの許可を取ったらという話だったけれど。

「あ、両親は小さい頃に死んで、天涯孤独なので、保護者的な人はいるけれど放任主義なのです」

涙腺に触れたおじさんは感動したのか、彼を居候させることを許可した。

「誰かいるだけでこの空間も騒がしくなるんだな」

いつもおじさんは仕事で家を空けて不在。
僕一人だけの生活にやってきたノンちゃん。

「ねぇねぇ、ジョージ君！」
「……なんだい？」
「できれば、みそ汁は白みそ希望だなぁ」
「……白みそが切れているから赤だしだね」
「ジーザス！」

オーバーリアクションに苦笑しながら僕は朝食の準備を始める。

「いやぁ、ジョージ君のご飯はおいしいね。一家に一人、欲しいね！」
「家電じゃないんだけど？」

テーブルに置いてある朝食をもぐもぐと美味しそうに食べているノンちゃん。
リスみたいに頬を膨らませているのは少し行儀悪いけれど。

「それと、口の中に一杯、ものをいれないほうがいいよ？」
「えぇ～、おいしいからずっと味わっていたいのに」
「ずっとは無理だよ。同じ味なんだし、いつかは飽きがくる」
「うーん、そうする」

ゴックンと飲み込んでお茶を一口。