水が急に止まる。
窓ガラスが割れる。
給湯器が故障して水風呂になっていた。
普段から何かしら問題はあったものの、霊媒師の言葉が頭を過ぎり不安がむくむくと彼女の中で膨らんでいく。
あの霊媒師の言葉を信じるべきなのだろうか?

「どうしょう」

バイト中に手が止まり頭を抱えてしまいそうになる。

「あれ、どうしたの?ユメちゃん」
「都せんぱぁい~」

働いているバイト仲間の藤森都がそんなユメの姿に気付いて声をかける。
休憩時間になった事で二人は外のベンチに腰掛けた。
ユメは霊媒師の事、家で起っている異変について相談する。

「うわぁ、何か凄い事になっているね」
「前から色々と不幸はあったんですけど、まさか、家が原因なんて……そもそも、悪霊や霊媒師なんて、都市伝説じゃあるまいし、もうどうすればいいのか」
「ふーん」
「先輩、これでも本気で悩んでいるんですけど」
「あー、ごめんごめん……ねぇ、ユメちゃん」
「はい?」

困惑しているユメに都はニコリと笑みを浮かべて。

「その霊媒師よりとぉっても頼りになる人達、知っているから紹介しようか?」
















数日後。

「さぁ、返事を聞かせてもらおう!!」

家の前で相変わらず大きな声と唾を飛ばしながら霊媒師が答えを求める。
ユメは戸惑った表情……ではなく、覚悟を決めた表情で答えた。

「ごめんなさい!お断りします!」
「そうか!そうか……ぬ!?」

頼られると思っていたのだろう霊媒師は断られた事に理解ができず、間の抜けた表情になる。

「こ、断るといったのか?」
「はい」
「そ、それではこの家は呪われ続けたままという事に!」