もし、都市伝説の中に存在している血まみれジャックや呪いピエロだったら苦労していたかもしれない。
狙っていた女子生徒から矛先が自分になった事で集中できるものの。

「問題はどこのどいつがこんな事を仕出かしているかだ」

都市伝説が怪異として現れることはよくあることだった。
ジンメンケン、クチサケオンナ。
そういった存在が怪異となって世間を騒がせていた。
だが、今回の相手は過去に存在していた都市伝説怪異と別格。

「明らかに殺人方面に能力が尖っている……そういう風に舵を取っている誰かがいる。ソイツを見つけないと、コレクターだけじゃない。他の怪異が現れる可能性だって」

ピロンとテーブルに置いてある携帯端末が音を鳴らす。
新城は携帯端末を手に取った。
携帯端末に表示されているのは長谷川からのメール。
メールは本分と一緒に写真が添付されていた。

「最悪だ」

写真を見た新城は目を細める。
添付されている写真は切り刻まれて事切れている人の姿。
事切れた女性の指が数本なく、女性が刻印された金貨が数枚ほど転がっている。
不幸な事にこの殺され方はネットで記されている一つの都市伝説と一致していた。

「血まみれジャック……か」








「おはよう!ジョージ君!朝だぜぇ!」

ドアを開けてこちらへ飛び掛かってくるノンちゃんを躱す。
ボフンという音と共に布団に飛び込んだ。

「むむむ、よく躱したな!」
「毎日のように襲撃を受けたらねぇ」

おじさんの許可を頂いてしばらくの間、この家の居候になったノンちゃん。

「お腹空いたぁ~、ジョージ君!ごはんをプリーズゥ」
「わかったから僕の布団の上でジタバタするのやめてくれる?」
「え、なんでぇ、可愛い子が布団の上で暴れるってワクワクしない?」