「ごめん、僕が対応できていれば」
「アホか」

バシッと新城が僕の足を蹴る。
軽く蹴っただけで痛くはない。
逆に新城は痛かったみたいでうずくまっている。

「えっと」
「許可を出すまで動くなって言ったんだ。その指示を守ってくれただけで上出来なんだよ。迂闊に都市伝説に手を出すのは危険だからな」

そういうと新城は立ち上がる。

「とにかく、しばらくはコレクターに集中する。何かあったら呼ぶからお前はそれまで変な事を考えずに指示があったらすぐ動けるようにしておくこと、いいな!」
「わかった」

了承すると満足したように新城がうんうんと頷き。

「じゃあ、解散」

本日は終わりということになった。






新城と別れた夜道。
既に学生は家へ帰宅している時間だ。
僕は家へ足早に戻ろうとしていた。
出回っていると警察に声をかけられるかもしれない。
最近は連続殺人事件やらなんやらで色々と物騒で、叔父さんからも気を付けるように言われている。
怪異を相手にしているから普通の犯罪者なんて問題はないけれど、新城に迷惑をかけられないから急いで帰ろう。

「あ、そこのキミキミ」

帰ろうとしていた僕は誰かに呼ばれたけれど、気のせいだろう。

「ちょいちょい、そこのキミだよ。イケメン君」

イケメン君が呼ばれているらしい。

「だから、待ちなさいって」

唐突に腕を掴まれた。
驚いた僕は振り返る。

「やー、ようやく気付いてくれたよ。何度呼んでも反応してくれないからとても悲しいです」
「えっと、もしかして、さっきから僕を呼んでいたの?」
「モチのロン!この狭い道にいるのはわたしとキミだけだよ?」