都市伝説とは近代における異常やありえない話を題材としたものであり、根拠や証拠が不十分な口承や噂の事を指す。
「根拠のない都市伝説もあるが、中には危険な噂もあるその一つがコレクターだ」
「コレクターって?収集家とか、そういうもの?」
「……コレクターは怪異だ。身長が約240cmある女性の妖怪だ。夜の都会に現れ、気に入った存在を自分の巣へ連れ込む……そう、噂されている存在だ」
新城の話によるとコレクターを見たという女子高生にほんの僅かだが怪異の気配が残っていたという。
怪異は意識すればするほど力を増す存在もいる為、咄嗟に「何にもない」と嘘をついて安心させたのだろう。
「焼け石に水程度だけどな、都市伝説はその程度で弱まるほどやわな存在じゃない」
「都市伝説ってそんな厄介なの?」
「遭遇すれば嫌でも理解するさ。あんなもの……本当は関わらない方が一番なんだが見た以上、放っておけないしなぁ」
新城はなんだかんだ言いながら怪異に巻き込まれそうな人を放っておかない。
そんな彼だから僕は支えたいと思うし力になりたいと思える。
「そろそろ行くぞ」
「うん」
道中に新城が教えてくれたけれど、狙われている女子生徒にこっそりと行方がわかる術式を仕込んでいたという。
「それとコレクターに対してだが、俺が指示を出すまでは動くなよ」
「わかった」
「都市伝説の怪異に俺達の常識は通用しない……まぁ、怪異そのものが規格外だが都市伝説は色々と嫌な能力がついていたりする。その可能性がある以上、まずは交渉を試みる」
「交渉?会話できるの?」
「調べた限り」
「え、調べたって情報があるの?」
驚いた僕に新城が鞄から取り出したのはタブレット。
「都市伝説はネットから調べることができる……本当に」
――どれだけ危険かよくわかるよ。
最後に呟いた新城の悪態は僕の耳にしっかり届いていた。