「えぇ、本当?」
「間違いないよ。見たんだって、コレクター!」
「でも、都市伝説でしょ?」

話をしているのは体操着姿の女子生徒達。
声を抑えているものの、意識を向けたら聞こえる程度。

「本当だって、女性にしては大きすぎだし、全身をすっぽりと覆うような白いドレスで帽子だったし」
「確かに、特徴は一致するけど、え、でも、大丈夫?コレクターを見た人って不幸な目にあう」
「そうだけど、みただけだし」
「気に入られたら危ないって、おまじないしないとダメって」
「大丈夫、きっと、大丈夫」

“コレクター”が何かわからないけれど、それを目撃したという女子は段々と顔を青ざめていく。

「……面倒だな」
「え、新城?」

ずかずかと噂話をしている女子達のところへ新城は向かう。

「おい」
「え、きゃっ!?」

呼ばれて振り返る女子生徒の首元を掴むとぐいっと引き寄せる。
コレクターを見たという目を限界まで見開き、覗き込む。
身長差があるから女子生徒の目を見上げるという形になる。

「ちょっと、新城!?」

突然の事に誰も動けない中、新城は女子生徒を解放した。

「呪われてもいないし、呪いもかけられていない。問題ねぇよ。びくびくする必要なし」

あー、時間の無駄だったといいながら新城は去っていく。

「え、なに?」
「今の小さい子、誰?」
「大丈夫だった?目、覗かれていたけれど」
「う、うん、いきなりでびっくりしちゃった」
「何だったんだろ?あのチビ、あ、それよりさぁ、NEONちゃんの新曲、聞いたんだけど―」

新城の態度に不満を抱いていた女子達だったがすぐに別の話題で盛り上がっていく。
追い付いた僕に新城が尋ねてくる。

「今日の夜、時間はあるか?」
「え、うん」
「本当に都市伝説って奴は……」