週末になり、芳子に連れられて神社の掃除に赴いた。場所は思っていた通り、毎日立ち寄る雑木林の中だ。

「とりあえず、草むしりだな。それから男衆は、傷んだ個所の修繕を頼みたい」

 取り仕切るのは、昭三じいさんの息子だと教えらえた。

 集まった面々は、親の世代から上の人たちばかりで、学生など私しかいない。
 女性だけで一度集まり、ある程度の場所を割り当てられる。それから、黙々と作業を進めた。

 午前中いっぱいかけて、神社とその周辺は見違えるように綺麗になった。もう使えそうにない賽銭箱はとりあえず撤去され、社殿の傷みにも手が入れられている。

 その扉は開け放たれており、初めて中を見ることができた。薄暗くてわかりづらいが、部屋の一番奥に小さな扉のついた棚のようなものがある。おそらくその中に、ご神体のようなものが祀られているのだろう。

「ごくろうさん。こんだけ綺麗になれば、龍神様も応えてくれるやもしれん」

 昭三の言葉に、ここにきて初めて龍神様が祀られていると知った。龍神様と言えば、水に関する神様だったはず。勝吾が言っていた、雨乞いの儀式を復活させるという話も納得だ。

「とりあえず、今日のところは解散にしよう」

 せっかく来たからと、各々社殿に向かって手を合わせる。
 私と芳子も人が途切れたタイミングで参拝し、梶原家へ引き返した。