「ちょ、なんで三ツ矢さんと二人で同じ班なん?!」


 秋汰は俺の傍に駆け寄ってくるなり、黒板消しで俺の名前を消した。

 まだ三ツ矢さんの彼氏は名前を書いてなかったから、俺と二人だと勘違いしたのか……?

「え、何してんだよ……お前あいつらと組むんだろ?」
「そんなわけないやん! なんで俺がつむ以外と組むん……」


 は、なんだそれ……
 あんだけ誰と組むか決まってないとか言ってたくせに。


「何? ヤキモチ?」


 他の誰にも聞こえないように小さく問いかけると、秋汰は顔を真っ赤にする。


「だったらどーなん……って、何笑ってんねん!」


 いや、可愛すぎて。
 そんなこと言われたら誰だって嬉しいだろ。


 まぁ、このままだとなんか可哀想だし、本当のこと教えてあげるか。


「三ツ矢さん彼氏いるし、なんなら三人だから。秋汰も入ればダブルデートじゃね」

「え……そうなん?! ならはよ言ってや! 心臓に悪いわ、ほんま」
「はいはい、ごめんごめん。名前書いといて」


 適当に謝ってそう告げると、俺は自分の席へと戻った。