「修学旅行の班、今から10分以内に決めなさい」


 担任の指示が出ると、クラスメイトは皆各々立ち上がる。

 二人って訳にもいかないようで、四人班を作らないといけないみたいだ。
 あいにく俺には仲良いクラスメイトはいない。秋汰の好きに決めてもらうか。


 って……アイツ、何してんだ。


 前の席に秋汰の姿はなく、教室を見渡すと……クラスメイトに囲まれた秋汰の姿が。


「秋汰、お前他に誰誘うんだよ」
「まったく決めとらんけど」

 ……は? アイツ、他のやつと同じ班になるつもりか?

 俺の方見向きもしないし。



 イライラが募り指先で机をコンコンと叩いていると、目の前に人影を感じた。


「津村くん!」

「うっわ、びっくりした……毎回脅かすのやめてくれる?」
「そんなつもりはないんだけどなぁ……ってそうじゃなくて! いいの? 茜くん囲まれてるけど」

 目の前にしゃがんでいた三ツ矢さんは、秋汰の方を指さしながらそう言った。



 いい訳ねーだろ。なんて言えるはずもなく……、

「さぁ、他の奴と組みたいなら組めばいいんじゃね……」
「んー……それなら、津村くん。私たちと同じ班になる?」
「え。それだと、三ツ矢さんの彼氏に悪いんじゃ……」
「どうせ他にも人いれないといけないんだから、そんかの変わらないよ! 気にしないで!」


 三ツ矢さんの優しい気遣いに礼を述べ、黒板に書かれた三ツ矢さんの班に名前を書いた。


 ――その瞬間。