「なんか……さっきから視線すごいねんけど」
「いや、マジでそれ思ってた」

 クラスメイトからの視線はもちろん、廊下には別のクラスの人がたくさん集まっていた。そして、見られているような気がして落ち着かない。
 勘違いであって欲しい。と、ちらりと廊下へと視線を送ると、バッチリと目が合い思わず逸らす。

 やっぱり勘違いなんかじゃない、見られてる。
 
「やっぱり文化祭のがバレたんとちゃう?」
「俺は別にいいけどね。秋汰は気になるだろうけど」
「俺も別にバレてもええで……?」

 秋汰は、こてっと首を傾げた。
 バレるバレないの前に、ああやってコソコソ噂されてたら暫定も否定もできないしな……

 変な噂が勝手に広まるのも困るし、どうすればいいんだ。

 そんな事を考えていると、授業五分前のチャイムが鳴った。
 ナイスタイミング。廊下に集まっていた人達は慌ててそれぞれの教室へと戻っていった。

「一限目って修学旅行の話し合いやんな?」
「そうだっけ」
「おい! ちゃんと時間割見とき」

 ……今まで授業中ほとんど寝てた俺にそんなこと言っても無駄なんだよ。

 修学旅行……ってどこ行くんだっけ、海外はないと思うから国内だろ? 北海道、沖縄……あとどこだ……?

 秋汰と一緒にまわれたらいいな。