いつものアラームの音で目が覚める。
 起き上がろうとすると腕になにかが当たり、そちらへ視線を落とす。

 そういえば……秋汰と一緒に寝たんだっけ。
 あんなことがあったけど、秋汰に心配かけたくないし、ちゃんと学校に行かないとな……

 とはいえ、まだ頭がズキズキと痛い。

「ん……おはよぉ……」
「……おはよ」

 寝ぼけた表情で目を擦っている秋汰の頭を撫でると、着替えるためにベッドから起き上がった。

「つむ、もう頭痛くないん……?」
「うん、大丈夫」

 俺だけ行かないわけにもいかないしな……
 そういえば、秋汰……今日は家に帰るんだっけ? なるべくあの家には帰したくない。

 ……なんてワガママも言えないし、せめて家まで送って、見届けるだけでもしないと。

「おじゃましました!」

 学校の準備を終えたあと、秋汰は母さんに深くお辞儀をし、俺らは見送られながら学校へと向かった。


「なぁ、また……なんかあったら家来いよ?」
「せやなぁ……でも俺ばっかり頼りすぎもアカンしなぁ」

 秋汰は申し訳なさそうに小さく呟いた。

「……お前のことマジで大切だから、俺以外に頼ったり一人で抱え込むの禁止な」
「つむって意外と独占欲あるんやな?」
「マジでそういうのないから」

 真面目に話してんのに茶化してくる秋汰を睨みつける。
 別に独占したいとかじゃない、ただ心配なだけ。

 俺の好きになった秋汰をこれ以上変えないでくれ。
 苦しみを堪えたり、感情を押し殺したり……そんな孤独な秋汰は見たくない。

 ずっとこんなふうに、俺の隣で笑っていてほしい。ただ、それだけ……。