ズキズキと頭が痛む。その拍子で目が覚め、ゆっくりと起き上がると、いつのまにか自室のベッドで寝ていたようだ。
あれ……俺、寝てた……?
スマホをつけて時計を見ると、もう日付が変わりそうな時間になっていた。
多分みんな寝てるから申し訳ないな、なんて思いながらも空腹だし眠気も覚めたから、キッチンへと向かった。
自室を出て階段を降りると、リビングには電気がついていた。こんな時間まで起きてるなんて珍しいな……なんて思いながらリビングの戸を開ける。
「つむ……?!」
引き戸を開けた瞬間、秋汰と目が合い、心配そうに駆け寄ってきた。
「……なんで秋汰がいんの?」
「なんでって……」
「ちょっと魁。秋汰くんは心配してずっと待っててくれたのよ?」
「心配? なんの……?」
疑問を抱きながらさっきからズキズキと痛む頭を触ると、包帯がしっかりと巻かれていた。
……え、なんだこれ。いつの間に……
いや、そうだ……俺、秋汰の母親に振り払われて頭打ったんだっけ……
「秋汰は? 怪我、ないのか?」
「俺は大丈夫やったよ。少し赤くなっとったけど……もう目立たんし」
「……よかった」
あれ以上何かされてなくてよかった。俺は意識失ってたみたいだから守れなかっただろうし……マジでかっこ悪い。
「つむ、ホンマにごめんな……俺のせいやわ……」
「秋汰くん、何度も言ってるけどあなたのせいじゃないわよ」
そう、母さんの言う通り、秋汰のせいなわけがない。秋汰だって被害者だ。あんなふうに無抵抗に傷付けられて……
秋汰って泣き虫だと思ってたけど、あんなふうに感情を消してしまってるとこなんて初めて見た。
「秋汰くんも、しばらく家に泊まったら……?」
「いや、大丈夫っすよ。多分明日になったら泣きながら謝ってくると思うんで……」
大丈夫じゃねぇだろ……それ。
秋汰はずっとそうやって母親のストレスのはけ口にされても、どんだけ辛くても許してきたんだろうな……