それから空き教室で秋汰と昼寝して、買っていたお菓子を食べながら駄弁っていると、校内放送がかかり始めた。
『これをもちまして、文化祭は終了となります。皆様、気をつけてお帰りくださいませ』
「もう文化祭終わりなんやな」
「マジでだらだらしてただけだったけど。いいの?」
「ん? 俺は別につむと一緒におれるならええよ」
『カップルコンテストの優勝は二年A組、準優勝は三年C組です。おめでとうございます』
続けて流れてきた放送の内容を聞くなり、俺らは瞬時に視線を合わせた。
いや、まさかあんなことしといて優勝できるとは思ってなかった。
しかも、あのあとすぐにステージからいなくなったわけだし、てっきり失格になったのかと思った。
「……え、凄くね? 俺らベストカップルじゃん。……って、なに泣いてんだよ……」
秋汰は黙り込んで涙を流していた。
泣くほど嬉しかったのかよ。
「だって、そんなん……嬉しすぎるやん」
「はいはい、良かったな」
大泣きレベルで涙を流してる秋汰にタオルを渡し、頭を撫でる。
「俺、初めてイベントが楽しいって思えたわ。……秋汰のおかげかもな」
「俺もやねん、こうやって……その、好きな人と過ごすんは……初めて……」
真っ赤になり、口ごもる秋汰を見ていると笑いが吹き出た。
「ふは、なに照れてんだよ」
「しゃーないやん! 恥ずいねんて」
「とりあえず俺らもこっそり帰るか。なんか詰め寄られてもだるいし」
外部の来客に紛れて、俺らは家に帰ることにした。
夜を過ぎたらカップルコンテストのことなんてみんな忘れてるだろ。
靴箱の人混みを抜けて、校門を出る。
絶対バレると思っていたけど、案外バレなかったからほっとした。