ショッピングモールを出ると、もう外はすっかり夜になっていた。
噴水広場もイルミネーションの噴水ショーみたいなのをしていて、虹色にキラキラ輝いていた。
二人で最後までそれを見終えると、夜景の綺麗な川沿いを歩き始めた。
なんの予定も立ててない計画性ゼロの初デートだったけど、秋汰と一緒に過ごせて楽しかったし、可愛い一面も見れたし……結果俺的には良かったのか? 秋汰はどう思ってるのか知らないけど。
だって、こんなこと恥ずかしくて口が裂けても言えない。
このまま楽しい記憶で夏休みを終えられたら……なんて思っていたその時、事件は起こった。
「あれ、秋汰じゃん」
クラスの男子二人が俺らの方へ駆け寄ってきた。
俺らが仲良いのはみんな知ってるし、何も疑われないだろうと思っていたけど……
「マジで最近二人仲良すぎじゃね? ビジネスカップルやめろよ」
「それな、大体男同士じゃん!」
マジでコイツら……
俺は別になんて言われようといいけど、そんなこと言われたら秋汰は普通に傷付くし、下手したら泣くぞ……
「……は?」
俺が秋汰の前に出ようとしたその瞬間……
「いやぁ、ビジネスカップルってバレとったん?」
秋汰は俺を遮ってハッキリとそう言った。
「当たり前じゃん。ガチなら男同士とかキモすぎ」
「そんなん言わんとってや、俺可愛ええし、つむイケメンやろ?」
「津村イケメンなのはガチだよな」
「おい! 俺は?!」
言葉を失ってる俺を置いてけぼりに、三人は楽しそうに会話を続けていた。
……もう、分かんねぇ。
こいつ、俺と付き合うの……本気じゃなかったのか? ビジネスカップルって……なんで? インスタでバズるために?
そんなやつじゃないって分かってるけど……俺の前でわざわざそんなこと言わなくてもよくね……
これ以上何も聞きたくない。と、この場にいるのがしんどくなって、俺は何も言わずにその場を立ち去った。