それから、恥ずかしくなるほどベタな恋愛映画を観ながら、隣でワンワン泣いてる秋汰に呆れてポップコーンをつまんでいると、いつの間にかエンドロールが流れ始めていた。

「マジで大丈夫……?」

 目を真っ赤にしてタオルで顔を抑えてる秋汰にそっと声をかけた。
 涙脆いのは知ってたし、泣き虫だなってずっと思ってたけど……ここまでとは。

「ハッピーエンドなのにそんな泣くわけ?」
「ちゃうねん、幸せやから泣くんやろ?」

 幸せなのに泣くのかよ……
 その価値観、俺には理解できないかも。

 とりあえず秋汰の背中をさすりながら映画館を出る。
 さっきの噴水広場に向かうと、秋汰は嬉しそうにスマホで写真を撮り始めた。

「ホンマにオシャレやん! つむは撮らへんの?」
「俺はいいや。秋汰が撮ったやつがいいし」
「嬉しいこと言ってくれるやん〜」

 秋汰はかなり嬉しかったのか、ニヤニヤしかがら俺の腕をつついてきた。

 うっざ……マジで言わなきゃ良かった。


 しばらく秋汰に付き合っていると、辺りも少しずつ暗くなってきた。

「とりあえず何か食べ行こーぜ」
「せやな、もう夕方やしお腹減ったわ」

 良さげなとこを一緒に探していると秋汰の好きなオムライス屋があって、結局そこで食べることになった。

 秋汰はトマトソースのオムライスを、俺はチーズソースのオムライスを頼んだ。