しばらく家から川沿いを歩いていると、大きなショッピングモールに着いた。
近くの映画館といえばここが一番広いし、多分上映作品も多いはず。
それに、ここなら映画以外にも色々楽しめそうなとこあるし……
オシャレな噴水のそばにはカラフルな花が沢山植えられていて、これなら秋汰も喜ぶはず。
「つむ、あとでここで写真撮らへん?!」
「ふっ、いいよ」
……やっぱり。
目キラキラさせてて、すっげー嬉しそう。
とりあえず映画フロアのある四階へと向かった。
「何観たい?」
「ああ、これ。三ツ矢さんが観たって言っとったけど、めっちゃ感動するらしいで?」
「ふーん、じゃあそれにする?」
秋汰が指さしたのは、ゴリゴリの恋愛映画っぽいのだったけど、まぁ……俺は特に観たいものもなかったし、三ツ矢さんのお墨付きなら間違いないだろ。
秋汰がパンフレットやらグッズを見てる間、俺は二人分のチケットを買い、飲み物とポップコーンを持って、ソファに座っていた。
ふとインスタを開くと、フォロワーが五十人ほど増えていて、思わず驚きで肩が跳ねた。
DMも何件かきていて、だいたい”茜くんのストーリーからフォローしました”と書いてあった。
アイツ、なにあげたんだよ……と若干イラつきながら秋汰のプロフィールを見ると、そこには”つむ”と書いてあるハイライトが新しく出来ていた。
そこには、今まであげてたであろう隠し撮りや、一緒にした自撮りやらがあげられていて……それで最後には、二人の影に”Dativersary”と白い文字で書いてある写真が載っていた。
あ……あの日の帰りに撮ってたやつか。
勉強ができない俺は、なんて書いてあるのかさっぱり分からなかったが、いつの間にか不思議と笑みが零れていた。