「ん、どした……?」

 何故か改まってるような様子の秋汰に、思わず緊張が走る。
 何言われんだろ……って、すげー不安になるんだけど。

「今日の朝、つむ、俺の事好きって言ったやん……?」

 あ、これ……正式に振られるやつだ。
 気まずそうに話を切り出した秋汰に、直感的にそう思った。

 まぁ……秋汰からしたら、何でって感じだよな……そりゃそうか。

「うん……」

 なんとか感情を抑えて、小さく返事をしてみたけど、秋汰も気まずいのかなんなのか声が若干震えている。

「俺な、ホンマに花乃ちゃんとつむがカップルって言われとんの嫌やねん……」

 不安げにそう呟かれた言葉に、少し驚いた。


 これって、さ……俺、少しは自惚れていいやつ……?
 勘違いかもって思うけど、もうあんな思いしたくないけどさ……

「やから……俺、その……」

 頬を赤く染めて言葉を探している秋汰。
 こんなの、また勘違いしそうになる。でも、もう俺は秋汰に告ってるわけだし……当たって砕けるしかない。

 思い出した三ツ矢さんの言ってた”どうして返事貰わなかったの?! 付き合えたかもしれないのに”って言葉。

 それなら、今しかないよな。
 と、俺は右手で秋汰を抱き寄せた。


「俺、秋汰が好き。……俺と付き合って」


 耳元で囁くようにそう言ったあと、なんとも言えない恥ずかしさが込み上げてきて、思わず秋汰から離れようとした。

 でも秋汰は、ギュッと強く俺の背中に手を回した。

「つむ、好き……」

 胸が締め付けられるように痛い。でも、俺も秋汰から離れたくない。
 もう一度強く抱きしめると、秋汰の体は小さく震えていた。

 秋汰が、俺のこと好き……
 どんな顔すりゃいいんだよ……俺だって泣きそうなのに。

 俺は、自分が泣きそうなのを隠すために、秋汰の涙を拭ってあげた。

「マジで泣き虫じゃん」
「ちゃうし……寒いだけやん」

 そう言って、秋汰はプールから上がり、プールサイドへと腰掛けた。

 まだ若干赤い顔で嬉しそうに月を見上げている秋汰が可愛くて……

 俺は小さくため息をつくと、同じようにプールから上がり、そのまま秋汰の身体をゆっくりと押し倒した。

 突然のことに言葉を失いながらも嬉しそうに柔く微笑み、濡れた俺の髪をそっと撫でる秋汰にそっとキスをした。