「もう夏休みも半分切ったんやなぁ……」
「学校行ってたし、夏休みって実感無いけどね。まだ」
「ほんまにね、夏にしたいことなんも出来とらんのよ」

 まぁ、俺はこうやって秋汰と何気なく過ごせるだけでいいんだけどさ。

「あ、カエルいんじゃん」
「ほんまや! カエルも暑いんちゃう? 知らんけどな」

 泳いでるカエルが可愛くて、思わず手を伸ばすも届かず……

「うわ……っ」


 水の跳ねる大きな音と共に、俺はプールへと落ちてしまった。
 びっくりしたのか、カエルは手の中に飛び込んできた。

「やば、すっげー可愛い」
「あほ、なにしとんねん!」
「ってか、冷たいし気持ちいい。秋汰も来いよ」

 意外とプールの中は冷たすぎず、程よく気持ちよかった。
 遠慮がちに秋汰も、ゆっくりプールへと入ってきた。

「わ、ほんまや。涼しいな?」
「でもこれ帰るのマジで大変だよ?」
「真っ先に飛び込んだつむが言えたことやないんよ」

 まぁ、しばらく学校ないし、制服はどーにかなるだろ。

「次会うの、文化祭だよな」
「……せやな、つむは大忙しやろな」

 秋汰は悲しげにそう呟いた。
 そんなこと言うけど、秋汰もあんな可愛いカッコしてたら人気出すぎないか心配になんだけど……。

「まぁ、お互い頑張ろうな」

 秋汰の頭にポンと手を乗せて微笑むと、秋汰は目を逸らして口を開いた。

「あのな、つむ……変なこと言うかもしれんけど……聞いてくれへん……?」