ある程度、人を招いても不快感を与えないレベルにまでは片付いたはず。
と言っても、服や物をクローゼットの中に押し込んだから、クローゼットを開けられたら全て終わる。
「わ、めっちゃオシャレな部屋やわ 青系好きなんやな?」
遠慮がちにドアが開かれ、秋汰は部屋中を見渡しながら中へと入ってきた。
俺がいつも着てる黒の半袖Tシャツとジャージ姿で、前髪を上に結んでる。
「お、かわいーじゃん」
秋汰の両頬を片手で掴むと、俺も風呂に行こうと部屋を出た。
……冷静に考えたら、好きな人と同じ部屋で泊まるってことだよな……?
まぁ、秋汰は俺のこと友達だと思ってるから、何も起きないとは思うけどさ……ドキドキしてやべーのって、俺だけじゃん。
◇ ◆ ◇
色々考えながらシャワーを浴びて部屋に戻ると秋汰は、俺の抱き枕をだきしめてベッドに寝転んでいた。
「ちょ、それ俺のなんだけど」
「えぇやん! 今日は一緒に寝んねん」
「は……? まぁいいけど」
愛用の抱き枕を渋々諦め、ベッドに置いてたクッションを取ると、床に置いた。
「エアコン付けとくけど寒かったら消していいから」
それだけ言い、床に寝転がろうとしたその時、秋汰は驚いたように飛び起き、口を開いた。
「えっ、つむベッドで寝ないん?」
「狭いし秋汰使っていいよ」
「なんでなん?! それなら俺が床で寝るし!」
なんでって……一応お前は俺にとって好きな人なわけで……。とか言っても秋汰には伝わんねぇんだろーな……
「とりあえずいいから。秋汰はベッドで寝ろよ」
「嫌や! つむだけ床で寝せるん嫌や。それなら俺も床で寝るわ」
「マジで何言ってんの……」
これはいつもの”言い出したら聞かない秋汰の駄々”が始まった。
かと言って、一緒にくっついて寝んのもな……
「……分かったよ」
諦めたようにそう呟いて、クッションをベッドへと投げ込むと、秋汰は嬉しそうにそれをキャッチした。