話を聞いていると、売上は生徒が好きに使っていいそうで、皆もかなりガチになっているみたいだった。

 俺と秋汰以外は割と賛成ムードだったから、それなら男までメイド服着たら逆効果じゃね……なんて口が裂けても言えなかった。


 しかも夏休みまで登校しないといけないとか……マジで地獄じゃん。

 ◇ ◆ ◇

「俺、夏休み中に足痩せなあかんわ」

 帰り道、秋汰はポツリとそう零した。
 あ、さっきのマジで悩んでたのか。

「俺の方が嫌だわ……秋汰はまだ背低いから女子に見えるじゃん」
「低ないわ! まぁでもつむ180やもんな……」
「マジで軽く事故」

 自分の女装した姿想像したら、どっと疲れが溜まり、思わずため息が出た。

「どしたん、やっぱりカップルコンテスト嫌やったん?」
「……全部がやだ」
「三ツ矢さんと出ればよかったんに……」


 秋汰は、いいこと思いついた、と俺に視線を送ってくる。
 いや……どっちも変わんねぇよ……

「お前が出ればいいじゃん」
「え? なんで俺?」

 俺が面倒くさそうに返すと、秋汰はきょとんと問いかけた。

 なんでって……

「三ツ矢さんのこと好きなら、これ口実に誘えばよかったじゃん」
「へ? あ、あぁ、そういえばそうやんな?」

 納得いってないのか、理解出来てないのか、秋汰は頭の上に?を浮かべるように混乱していた。

「三ツ矢さんに言ってみたら? 俺マジで出たくないし」
「い、いや……俺もええわ」

 なんでだよ、好きなら絶好のチャンスじゃん。
 ……って、なに秋汰の恋愛応援してんだよ……。

「そもそもな? 俺、つむと三ツ矢さん応援しとるし……」
「でも、好きなんだろ……?」

 こんなこと聞くの、自分の心が苦しくなるだけなのに……。
 そんな事は分かっているのに、思わず聞いてしまった。

「俺、三ツ矢さんのどこが好きなんやろ……」


 秋汰は、全く予想していなかった返答をした。
 三ツ矢さんが好きだとクラスメイトに暴露された時のあの表情……今でも覚えてる。
 顔を真っ赤にして、何も言えなくなってて……”これ、ガチなやつじゃん”そう直感で分かってしまうほどだった。

 それなのに、今更どーしたんだよ……