「あたし、イケメンがいいなぁ。秋汰のことも悪くないと思うけど、やっぱり津村くんみたいなイケメンかいいよね」
「確かに、津村くんはイケメンだし、最近密かに女子から人気になってきたよね。うんうん」
いや、でも待ってな? なんか、つむにしては意外な答えが返ってきて、ビックリしたような覚えがあるわ。
ホンマに思い出せへん……
って、なんで俺こんな必死につむの言ってたこと思い出そうとしとん? あとでまた聞けばええやん。
「……くん? 茜くん?」
「へ?!」
自分の名前を呼ばれたような気がし、ほぼ反射的に素っ頓狂な返事をしてしまった。
「だから、あたしの恋愛! 応援してくれる? って」
あぁ、花乃ちゃんの話しやったんか。
「もちろん、ええよ!」
俺は軽い気持ちで二つ返事をした。
三ツ矢さんはそんな俺の返事に目を見開いた。
「え、何……?」
「じゃあ、あたし、津村くんと付き合えるように頑張るね!」
花乃ちゃんは嬉しそうにガッツポーズして見せた。
花乃ちゃんの好きな人って、つむやったん……?
その事実を知った瞬間、胸の奥がチクリと傷んだ。
……何なん? この気持ち。
「……そんなん、嫌やん……」
「え? 何か言った?」
自分の意思とは反して、言葉が溢れていた事に、俺は気付いていなかった。