◇ ◆ ◇

「あの、浜野……いる?」

 C組の前の廊下で話している女子に話しかけると、その女子はビックリしたように俺を見た。

「津村くん?!」

 知り合いじゃねぇよな……?
 いや、なんで俺のこと知ってんだよ……

「ちょっと呼んでくるね!」

 2人の女子は慌てながらも教室へと入っていった。
 それから暫くすると、浜野が困惑しながら教室から出てきた。

「えっと、何?」

 戸惑うように頭を掻きながら俺の元へと歩いてくる浜野。

「これ……俺のとこに入ってた」

 そう言って便箋を差し出すと、浜野は一瞬で顔を真っ赤にした。

「あ……その、これは……」

 しどろもどろになり、言葉を失っている浜野に、俺は小声で話しかけた。

「お前、秋汰のこと好きなのか?」

 俺の問いかけに目を見開き、浜野は小さく頷いた。

 ……やっぱりな。
 すげぇ顔真っ赤だし……まぁ、聞きたいことは色々あるけど。
 ここでゆっくり語るのもなんか違うしな……

「……俺も、ライバルだな」

 俺は浜野に小声で微笑みかけ、自分の教室へと戻った。