どこか落ち着いて見れる場所はないかと、辺りを見渡した瞬間……
響き渡る爆音と同時に、夜空いっぱいに花火が咲く。
その大きな音にビックリしたのか、空を見上げながらも、秋汰はピタリと俺に寄り添ってきた。
ひとつひとつの彩りが、夜空に大輪を描き、息を呑むほど花火は綺麗だった。
それは、部屋の窓越しに見る、俺の知っている花火とは全く違うもののようで。
「すっごい綺麗やな……」
「うん、綺麗」
俺らは花火を見上げたまま、そんな会話を交わしていたけど、秋汰は突然俺の方を見て微笑みかけてきた。
「花火フィルタで俺までオシャレに見えへんかな。可愛い子に一目惚れされたりしたらええのにな」
……なんだそれ、そんなのダメ。
――だってさ……
「……既に惚れてるし」
頭の横に付けてたお面を顔に当て、俺は秋汰に聞こえないくらいの小さな声でそう呟いた。
その声は花火の鳴る音でかき消され、秋汰には聞こえていなかったようで、腕を引き寄せられた。
「へ……、なん、て……?」
「なんでもねーよ」
俺がそう誤魔化すと、秋汰は俺が顔に当てていたお面を無理やり奪ってきた。
って……
「お前もお面付けてんじゃん」
秋汰も俺と同じように片手でお面を顔に当てていた。
真似してんじゃねーよ……なんでも「お揃い、お揃い」って。
……この気持ちはお揃いになんねぇくせに。