しばらく、いつも通りくだらない話を続けて歩いていると、通行人の数も増え、だんだんと賑やかになってきた。

 そして、道の両端には色とりどりの屋台が。
 りんご飴に綿菓子に焼きそば、お好み焼き……すげぇ色々あるんだな。

「なぁ、やっぱ関西人ってこういう時もたこ焼き食べんの?」
「アホ! 俺は本場のやないたこ焼きは食べへんし!」

 秋汰はムスッと顔を顰めながら、俺の肩を叩いた。
 あ……割とそういうプライドあんのか。


 ◇ ◆ ◇


「いやぁ〜、屋台でご飯食べるんは、おいしいな?」

 秋汰が、満足気に笑顔で頬張っているのは、さっきあんだけ謎のプライド見せてた、たこ焼き。

「……結局食ってんじゃん」
「東京のはどうなんやろ? って審査してあげとんねん! ……って、おいぃ! 勝手に食べよるし!」
「……んまい」

 秋汰が言い訳に夢中になってるのを確認すると、俺は一つたこ焼きを口に入れた。

「つむ、ソース付いとるて」
「ん、あぁ、悪ぃ」

 つむが背伸びして、俺の口の周りをお手ふきで拭いてくれた。

 そんな秋汰が健気で何だかすげぇ可愛く見えてきて、思わず頭を撫でてしまう。

「わ、ちょ……それ髪の毛崩れんねん」

 嫌がってるふうなこと言いつつも、何だかんだ嬉しそう。

「お面頭に付けてんのに、そんなの気にすんのかよ」

 秋汰は頭の横に、さっき一緒に買った狐のお面を付けてる。
 こんなの別にお揃いにしなくてもって思ったけど、あまりにもお願いされるから断れなかった。

「それはそれ、これはこれやねん。髪の毛崩れるの嫌やん」
「はいはい、もうそろ花火始まるってよ」
「え、ほんま?! こっから見えるんやろか?」

 さっきまでムスッとしてたくせに、花火が始まると言うと、目をキラキラ輝かせる。
 わざわざ今から遠くに行くのも面倒だし、時間もない。