「か、彼氏……?」
「そ、その……嫌味っぽくなるから、二人には言わないつもりだったんだけどね……!」

 マジか……
 まぁ、そうか……普通に考えて、こんな優しくて性格いい三ツ矢さんに彼氏がいない方がおかしいよな……。

「そうだったんだ、お幸せに」
「うん、ありがとう津村くん。私も二人のこと応援してるから!」


 三ツ矢さんの笑顔で、心の奥にずっとあった不安が消えた。
 俺は、三ツ矢さんも秋汰のことが好きだったらどうしよう。なんて考えては、へこんだりしてた。

「そういえばさ、あと一ヶ月半くらいで夏休みだねー!」
「最近すげぇ暑いし、家から出たくない」
「でもさ! 夏休み前と言ったら! 毎年恒例の花火大会があるよ」

 毎年恒例……なのか? 普段花火大会とか祭り系に行かない俺は、いつも何月何日に開催してるなんて覚えてるはずなんてなかった。
 ベッドでゴロゴロしてたら、窓から花火が見えた。ってことは何度かあるけど。

「茜くんさ、引っ越してきて初めての花火大会でしょ? だから、津村くんが誘ってみたらいいんじゃないかな?」

 まぁ、秋汰なら行きたいって言いそうだよな……いかにも映えそうだし。
 それに、俺も秋汰となら、外に出るのも悪くないと思ってる。……一人なら絶対行かないけどな。

「んー……ありがと。誘ってみるよ」
「花火大会デートって、なんだかいいよね〜!」

 三ツ矢さんは嬉しそうに窓の外を眺めていた。
 それに軽く返事をして、俺は秋汰にメッセージを送った。


『花火大会いこ』


 送ってすぐに既読がつき、『俺も行きたい』と返事がきた。

 俺も嬉しさが込み上げてきて、三ツ矢さんと同じように、窓の外を眺めた。