秋汰の口からは、ハッキリと”三ツ矢さんのこと好き”と告げられた。


 もう、本当なら今すぐここから消えたいくらいだ。
 でも、秋汰の話はまだ終わっていないようで、さらに言葉を続けた。

「でも、こんなふうにバラされて……ごめんな……でも、俺は諦めてもいいって思っとるから」
「なんで、俺に遠慮してんの?」

 コイツ、さっきから俺の気持ちに気付いてんのか……?
 それなら同情で俺に遠慮なんてすんなよ。もっと辛くなるし、惨めだ。

 そんな事を思って奥歯を噛み締めると、秋汰の口から、耳を疑いたくなるような言葉が……


「だって、つむも三ツ矢さんのこと、好きなんやろ……?」



 は……?
 なんでそうなんだよ。

 俺がいつ、三ツ矢さんを好きな素振り見せた?

 もしかして、三ツ矢さんに呼び出されたり、泣いたあの時……三ツ矢さんに連れ出されたりしたから、勘違いされたのか?

 ってことは……俺が好きな人が出来たかも。って言った時、秋汰が反対してきたのは……


 全て今までの疑問が晴れた気がした。
 なんで? って思ってたことも、秋汰のあの表情のわけも、秋汰が必要以上にベタベタしてたのも……

 俺が三ツ矢さんを好きって勘違いされてて、俺と三ツ矢さんをくっつけないようにするため……?


 どうしよう、なんて返せばいいんだ?
 こうしている間も、秋汰は俺の返事を待ってる。

 なんか、なんて言えばいいんだよ……言葉が思いつかない。


 ……! そうだ、逆にこれはチャンスなんじゃ……


 秋汰がそんなズルいことしてたなら、俺もすればいい。


 と、俺は澄ましたような顔で口を開いた。


「そう。俺も三ツ矢さんが好き」