「……ちょ、マジで待てって……!」

 自分の声に驚き、飛び起きる。
 目の前に映った布団に、一瞬で現実へと引き戻される。

 ――は、夢かよ……
 マジで最悪、なんて夢見てんだ俺……

 つか、学校に行ったはずじゃなかったか……? と、俺は周囲を見渡した。

 病院にいるような消毒の匂いに、真っ白なベッドと、目の前にある仕切り用のカーテン。

 ……保健室、か……? いや、でも、なんで? 俺、いつの間に……

 そんな事を考えていると、指先になにかが当たり、思わずそちらに目線をやると……

「……秋汰?」

 そこには、椅子に座り、ベッドに顔を突っ伏したまま寝ている秋汰がいた。

 そして、俺の声に反応するかのように、ピクリと肩が動く。

「ん……あれ……俺、寝とった……?」

 眠たげに目を擦りながら、ゆっくりと起き上がる秋汰。

 やべぇ……あんな夢見たあとだから、すげぇ気まずい。どんな顔すればいいんだよ。
 俺、寝言で秋汰の名前とか呼んでねぇよな……? まさか、俺が秋汰の前で寝てしまうなんて思ってもなかった。

 つか、今何時だ……? と、スマホの時間を確認すると、時間は十時半。とっくに授業も始まってる時間で焦る。

「なぁ、秋汰……授業は?」
「つむが心配やからサボった」

 なんの悪びれもなく、ケロッとしている秋汰に、俺はため息を着いた。
 
「つむ、俺のせいで風邪ひいたようなもんやろ……? 階段で倒れとったんやで……?」
「まじか……ここまで連れてきてくれてありがとうな」
「そんなん当たり前やん……」

 秋汰は心配そうに呟いた。
 心配かけたくなかったのに……まさか秋汰に迷惑までかけるなんて。マジでカッコ悪いな、俺……。