俺が教室に着くと、秋汰はすぐに気付いて近付いてきた。
そして、挨拶をすることもなく、すぐに俺の腕を掴んで……
「つむ、ちょっと来てや」
と、教室の外へと連れ出される。
突然のことに驚きながらも、秋汰に連れられるがまま、人混みを抜けた。
秋汰は階段の踊り場で立ち止まると、俺の腕を掴んだまま口を開いた。
「俺、つむのこと……好きやねん」
目をそらすことなく、秋汰はハッキリとそう言った。
きっと聞き間違いなんかじゃない。秋汰が、俺のこと……
「な、なんだよ……いきなり」
俺は戸惑って、秋汰から目線を逸らすと、秋汰はそれが気に入らなかったのか、俺の頬を両手で掴み、自身の方へと引き寄せた。
「いきなりちゃうよ……? ずっと前からやねん。つむは気付いとらんかったん……?」
あまりにも真剣な表情でまっすぐと見つめられ、狼狽えていると、秋汰はさらに続けた。
「昨日のあの時から……もう気持ちが抑えられへん……。つむ、好き……」
そのまま、秋汰は俺の首に手を回して、抱き寄せようとした。
そして、次第に近づいてくる秋汰の顔……
気付いてなかったわけじゃない。でも、勘違いしないようにって必死だった。
三ツ矢さんの言う通り、秋汰も俺のことが好きだったらって……正直何度も思った。
でも……だからって、こんないきなり……
秋汰と俺の距離が、触れそうになった瞬間……