秋汰の家に上がると、中には誰もいないのか、やけに静かだった。

 もう二十時になるけど、親とかいねぇのか……?

 意外と無機質寄りな感じの部屋だな……。色々飾ってありそうなイメージだった。
 割と片付いてるというか、そんなに物が置いてないシンプルなナチュラル系とモノトーン系が混ざった感じで、なんかすげぇギャップを感じた。

 秋汰の部屋を見渡しながら、そんなことを考えていると……

「つむ、タオル持ってきたで! これ、俺の服やねんけど。とりあえず着といて?」
「お、ありがとな」

 秋汰はタオルと一緒に自分のパーカーを手渡してくれた。

 とりあえず、ずぶ濡れになった上のシャツだけ脱いで、髪の毛を拭き始めた。

「ぅわ、さっむ……」

 タオルで髪の毛をわしゃわしゃと拭いていると、ふと視線を感じ、秋汰の方へと視線を送る……

「秋汰……? すげぇ顔赤いけど、体調悪い?」
「へ……?! い、いや……な、なんでもない」

 心配そうに問いかけると、秋汰は驚いたかのように、パッと顔を背けた。
 しかも手止まってるし……マジで風邪ひくって。
 こいつ、俺のことは心配するくせに、自分のことには無頓着なんだよな。

「ほら、手止まってるぞ。拭けよ」
「ちょ……つむ!」

 秋汰の髪の毛を拭いてあげると、秋汰は俺から距離を取った。

 こいつ……マジで何やってんだよ。嫌なら自分で拭けよ……
 さみぃの我慢してまで、秋汰が風邪ひかないようにした俺の努力が無駄になんだろ。

「ち、近いねん……!」
「は……? あぁ、ごめん」

 ……今更? いつもすげぇ近付いてくんのそっちなのに? 何気にしてんだよ。
 って……やっぱり顔赤い。

「まさかお前……照れてる?」
「ちっ、ちゃうよ?!」
「あっそ」

 じゃあ何なんだよ……
 と、濡れた体を拭いて秋汰のパーカーを着た。