「つむなに食べるん?」

 ファミレスに着き、二人でメニューを眺めていると、秋汰は俺の顔を覗き込みながら、そう聞いてきた。
「んー、チーズミートグラタンにしよーかな」
「おぉ、美味そうやな! 一口ちょうだいな!」

 こいつ……俺の食う気かよ……
 秋汰もなにか頼めよ、と無言の圧を送ると、秋汰はそっとオムライスを頼んだ。

 メニューを見終わった後も、秋汰は俺に寄りかかってきた。

「マジで腹減ったな」
「ホンマやでー……」

 ダラダラとだべっていると、秋汰は俺の横髪をさらりと掬い、そっと耳にかけた。

 ふと秋汰と目が合い、少しだけ緊張する。

 なんでそんな真剣な目で見つめてくんだよ……
 いつもみたいにヘラヘラしてくれねぇと、なんか……落ち着かない。

「つむはイケメンやのに、なんで彼女できひんのやろな……」

 ぽつりと秋汰はそう呟いた。
 
 なんだそれ……なんでわざわざそんな事言うんだよ。
 わかっててわざと聞いてんのか、それとも……俺に言わせたいわけ?

「それ、さ……できた方がいいってこと?」
「や……そういうわけ、ちゃうよ……?」

 秋汰は明らかに動揺しているようで、視線がチラチラと泳いでいる。

 ……分かりやすすぎだろ。

「ただ、つむがイケメンやね。って言いたかっただけなんよ」
「ふーん……」

 なんか、あわあわしてる秋汰、すげー可愛いな。